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裏方部屋

「てまかえ」

不器用を武器に

初夏の花壇のデージー
器用な人は、一定レベルまで習得する時間も短く、すぐに身につけていろいろなことができるようになります。
不器用な人は、その逆。仕事の場面では不利なことが多かったり。
しかし、実は、不器用であるからこそ持てるパワーがあり、それは現代だからこそむしろ重要であり、武器にさえなると思うのです。

不器用だから職人になった

不器用力は、自分と正直に向き合う力


私が長年通っている宮城県鳴子町(現・大崎市)の一流の漆職人である、小野寺公夫さん。鳴子に行くと、時々工房にお邪魔するのですが、かつて、こんなことをお話しくださいました。

「私は不器用だったから、職人になった。不器用だったから職人に向いていた。反対に器用だと、すぐに何でもできて、あるレベルまではすぐ到達するんだけどそこで満足して、別に興味が移る。結果、全部中途半端になる。職人には向かない」

それまで、職人になるのは、手先が器用な人たちだとばかり思っていましたから、目からウロコが落ちました。

なるほど。
器用にできないから、不器用だから、人一倍努力して集中して全力で向かうしかありませんし、職人の仕事は、ある意味、退屈な作業の繰り返しだったりします。
自分との戦いです。

つまり、自分との向き合い方、姿勢が、その職人のつくるものの質となるわけです。

地味で面倒なことに、どこまで地道に取り組み、愚直なまでに夢中になれるか。

一流と言われる人たちの妥協を許さない高い完成度と卓越したセンスは、そうしたプロセスの中でこそ磨かれたものだろうと思います。

いやしかし、それは全て「職人」という特殊な世界の話ではないのか?
スピードを要求される現代の暮らしや仕事と同列には語れない?

いいえ。
情報氾濫、情報過多の中、うすーく、ひろーく生きることがよしとされているような現代だからこそ、不器用力が必要だと思うのです。

なぜならば、先に述べた一流に至るプロセスなくして、その下地(ベース、基礎)を持たずして、物事を極めることはできないからです。

不器用力は、自分と正直に向き合う力、とでも言いましょうか。

それは、不器用であることへの素直な自己認識と、その認識に基づく謙虚さと誠実さが最大限発揮された時、物事に動じない強固で確かな土台をつくり、頂点を極めるエネルギーを生み出します。

長期的な目で見れば、これは大いなる「武器」です!
不器用、大いに結構じゃないですか!
執筆者
永田 マミ

永田 マミ

各種講演、セミナー講師、シンポジウムコーディネーターほか、オリジナルワークショップ企画・実施&講師を務め、媒体制作等ではコトバによる表現(取材、コピー制作)編集作業も担当。 大手企業シンクタンクを経て政府系財団で農業雑誌編集長を11年務めた後独立。 2008年に地域と人の応援サイト【いちぐう】立ち上げ、ブランディングを始めとする総合プロデュース開始。


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